スタッフ日記
「【ツキノワグマ】の福祉向上にむけて1」
当園にいるツキノワグマ2頭ワタルとハナについて
動物園で見られる動物の中でも、私たち日本人にとても身近な動物のひとつ(この辺でも山奥に行けば野生個体がいるかも…)であるツキノワグマは、本来夜に活動することが多い動物です。
が、動物園という事情を踏まえると昼間に寝てばかりいたらそれはそれで困ります。
また、何もすることが無いから寝るんだ、と言われてしまうのも困ります。
動物園の取り組みの一つとして、遊び道具等を与えてその動物の行動量を増やすことは一般的に行われています。
今回ツキノワグマのワタルとハナにも活性化を目的にいろいろ与えてみました。
なぜか横向きな写真・・・
まずはシイの枝葉
本来は森の中で暮らしているだけあって、葉っぱや皮を食べたり慣れたものです。
しかし動物園には脱走防止用の堀(モート)があるため、遊んでいるうちに落としてしまいます。
わざと落とすわけではないけどもうちょっと気を遣ってくれないだろうか。
本で読んだところ、木の高い場所での採食時に手繰り寄せた枝が重なって出来る、クマ棚と言うものがあるらしいです。
(意図的に作ってそこで寝るようなものではないらしいですが)
なのでワタルとハナも、枝葉を重ねておいたら何らかのアクションを起こすだろうか?
と思い、何日もバラけた枝を集めては高い場所に置いたのですが
ただ落としてガジガジするだけの繰り返しでした。
次はフィーダーを設置してみました。
オレンジの球には穴が空いていて転がして餌が出てくるものになっています。
高いところに設置したのは、上に登る頻度が少ないので行動範囲を広げてほしいためです。
それと、餌の出方によっては台の隙間から下に落ちてしまうので、もう1頭に取られるかもしれません。
そうなった時に取り方を工夫するかを見てみたかったからです。
まあ想定したようにワタルが独占して、たまには下に落ちる餌をハナが食べることもありました。
初歩だったので餌も出やすいサイズにしてありましたので、ほとんどワタルが最後までやっていました。
下に落ちてしまう餌に関しては工夫している感じはなかったようです。
諦めたり拾いに行ったり瞬間瞬間の気分で動いていた感じです。
次の日
難易度を少し上げて餌を取りにくくしました。
今度は吊るして、上手く回して穴を下向きにしなければ餌は出ません。
これは流石に難しいだろうと。
案の定ワタルが最初は独占しましたが、思うように餌が取れずに諦めることもありました。
するとハナがチャレンジして、となんだかんだ交互にやっていました。
最終的には餌は全て無くなりましたがこんな面白い写真が撮れました。
クマは立つのが得意ですが、こんなにキレイに立ち上がるとは思いませんでした。
まるで着ぐるみみたいです。
そしてこの取り組みはまだ続きます。
また次回。