スタッフ日記
「春のユキヒョウだより~のんびリーベ~」
今年は暖冬であまり寒くなりませんでしたが、4月に入ってから意外と寒い日が続いたりしていますね。
さて、外出自粛でなかなか外に出かけることができず、動物園に来られない方も多いと思いますので、ブログで浜松市動物園の猛獣たちの様子をお伝えしようと思います。
今日はユキヒョウのリーベ(メス)の最近の様子です。
「ユキヒョウだより」は過去にも書いていますので、興味のある方はバックナンバーから他の記事も探してみてくださいね。
というわけでリーベですが、オスのコハクが繁殖のため札幌の動物園に移動してからは1頭で過ごしています。
ユキヒョウは群れをつくらず単独で生活する動物なので、1頭で過ごすこと自体は問題ありません。
ただ、リーベは今まで他のユキヒョウがずっと周りにいた環境で過ごしていたことと、コハクがいた頃は同居していなくても柵越しにコミュニケーションを取ったりしていたので、1頭になって急激にしょんぼりして来ないかは少し心配でした。
結論から言うと、多少暇にはなったと思いますが、1頭になってすごくストレスを感じているようなことはなさそうです。
コハクが移動したあと後しばらくは、コハクのいた運動場や部屋まで出入り自由にしておきましたが、特に探し回っているような様子もなく、なんとなく居なくなったことは理解しているように見えました。
行動として変化したのは、柵越しに追いかけっこしたりといった今までコハク相手に起こしていた行動がなくなったので、大体よくやっていた14~15時くらいの散策の時間が少し短くなったくらいでしょうか。
もちろん、寂しい気持ちも多分あるでしょうが、それですごく気分が落ち込んだりといったようなことは、担当飼育員が見ている限りではなかったように思います。
ある意味しっかりしていてくれたので、飼育員としてはほっとしました。
色々周りの環境が変わった冬でしたが、リーベ自身は多少の変化はありつつも、大きくは変わらず普段どおり過ごしていたと思います。
そんなこんなで慌ただしい冬が終わって、春になりました。
最近のリーベですが、暖かくなってきたこともあり、以前と比べてまったりしている時間が多いです。
もちろん、コハクがいなくなって1頭になったからというのもあるかと思いますが、それだけでなく少し落ち着いて、全体的にのんびり過ごすようになってきたかな?と思います。
まあ、かと思えば、何がきっかけなのか突然ハイテンションになって飛び回ってることもありますが。
特に昼間は、以前はコハクの定位置だった高台上でひっくり返って天日干しされながら爆睡しているリーベをよく見ます。
【爆睡しているころがリーベ】
オリからはみ出る毛がチャームポイント?
触ったら干したての布団みたいで気持ちいいんだろうなぁと思います。触りませんが…。
爆睡中の間、長時間直射日光に当たりっぱなしで寝起きに少し暑そうにしてたので、早くも一部に日除けを設置しました。
【普段人が来ないところ(屋上)に飼育員が来てちょっと嫌そうな顔をしてるリーベ】
日よけ設置中に盗撮。
以前と同じく起きて活動するのは朝と午後が多いですが、最近は朝方は割とすぐ高台に上って毛づくろいをしていることが多いです。
このあたりは、隣で動き回っていたコハクがいなくなったのが関係しているかなと思います。
あ、ちなみに、現在リーベの隣の運動場はクロヒョウが使っていますが、リーベは割と無関心みたいです。
たま~にクロヒョウを見ながら尻尾をピョコピョコしてることもありますが、基本はスルー。あんまり気にならないみたいですね。
クロヒョウの仔が柵にへばりついて見ていても、特に気にすることなくすまし顔で過ごしています
【投入したタイヤの様子を伺うリーベ】
コハクがいなくなって暇な時間が増えたと思うので、少しは暇つぶしになるようにちょこちょこ色々やっています。
が、写真のタイヤはあんまり好評じゃなかったようで、初日以外まったく触っていない模様…。
あとは、まさにここ最近ですが、入室の時間になってもなかなか帰ってきてくれません。
ちょうど夕方のお部屋に帰る頃に眠くなるみたいで、帰る時間帯になると高台上に逃げます。
夕方、少し日差しも落ち着いて涼しげな風が吹き、人も減って静かになるからなのか、こちらの声掛けも虚しくウトウトし始めます。
【ウトウトリーベ】
世の中で外出自粛が求められているなか、まさかの帰宅自粛をしてくれてます。やめて…。
今のところは大体20~40分くらいして目が覚めたら帰ってきてくれますが、「部屋に帰ってから寝なさいよ…」と思うのは私だけでしょうか。
まあ、そんな人間の思い通りにはいかないのが動物なので仕方がないですね。
ちなみにウトウトしてるときにあんまりうるさく声掛けしてると、鼻に皺を寄せて軽くおこモードになって「シャー」って言ってきます。多分『うるさい』って言ってると思います。
ユキヒョウは元々冬場が一番活動が活発になる動物なので、食欲も冬場が一番上がります。
リーベは特にその傾向が顕著なので、春になって暖かくなってきて、あんまりお腹が空かなくなってきたのも帰ってこなくなった要因なんだと思います。
好物の鶏肉がある日や、お腹が空いている日は扉を叩いて待ってたりするので、現金だなぁと思います。見習いたいですね。
リーベは今年の5月で17歳になります。現在国内で飼育しているユキヒョウの中では最高齢のユキヒョウです。
リーベだけを見てるとあんまり年齢を感じませんが、浜松市動物園に来た頃のリーベの動きと比べると、やはり多少眠ったり休んだりする時間が増えたかなと思います。
ただまあ、歳を取ると段々のんびり休む時間が増えていくのは人も動物も同じなので、特にそれが悪いことだとは考えていません。
リーベのペースで過ごしてもらうのが一番だと思いますので、これからもリーベのペースに合わせながら接して、のんびり過ごしてほしいなと思います。(強いて言えば部屋に帰るのはこちらの都合に合わせて欲しいですが)
もちろん、ヒマし過ぎないように何か投入したり、作ったり植えたり仕掛けたり等はこれからもしていきたいと思いますので、これからもリーベを見守っていただければ嬉しく思います。
【↓部屋にしまわれたリーベ】